Home > 進路情報 > 卒業生からのメッセージ

卒業生からのメッセージ

30年後の君達のために

今から30年後に君達の人生の本番がやってくる。その時君達はそれまでに蓄積した知識、知恵、経験をもって、友人、家族と共にその才能を出し惜しみする事なく、それぞれの分野で日本の中心を、世界の中心を動かすのだ。そのつもりが無くても多くの人がそうなる。その可能性や運命、義務が君達には与えられている。しかしその日のためにかまえる事も準備する事も今は何もない。君達はただこの恵まれた環境の中で好きな事を発見し、熱中し、時間を忘れて遊び、一生を共に生きる友人を作るために日吉に通えば良いのだ。そしてその中で一生かけられる仕事のヒントに出会い、その道の歩き方を考える。日吉の並木道に転がっているいくつもの人生の可能性。よく見れば必ず見つけられる生涯の目標。僕の場合その砂の中のダイヤモンドは音楽だった。

今から30年前、僕は塾高生だった。生徒会にも属していたが自分の世界はバンド活動だった。学校から認められたクラブ活動の中には自分を生かせる場がなかったから、「外」の世界でバンドに熱中した。ジャズフュージョンのオリジナル曲、ソウル、ロック、日本語のロック、創立30周年の日吉祭では5つのバンドを掛け持ちした。その頃は、バンド活動する高校生は不良と見られて仕方のない時代だった。真面目な高校生がバンド活動するなんて、タブーだった時代である。バンド活動のことで教師からあれこれ注意を受けることも重なった。そのためか、バンド活動に友人を誘ってもその親から断られたりした。勿論のこと、僕はバンド活動が悪いことだなどとはちっとも思っていなかった。僕は、ますます音楽に没頭し熱中した。タブーが僕の音楽への扉を開けたのである。誰がなんと言おうと大変なものと出会ってしまったと思った。これを一生やっていきたいと思った。その後はじまる、作曲家へなるための気の遠くなるような修業も乗り越えられるパワーを、僕は塾高時代に好きな音楽からもらっていた。

才能、それはあるものに熱中できる事、時間を忘れて没頭してしまう事、ぶれずに迷わずにその道に邁進できる事。もしそういうものに出会えたら、その事に君は才能がある。どんなハードルも越えられる情熱が生まれる。その夢を叶えるパワーと方法は君達の環境の中に山とある。そしてそのダイヤモンドを30年かけてじっくりと磨いてほしい。

2009年9月9日

[千住 明 公式HP]
http://www.akirasenju.com/
ページトップへ

慶應義塾高等学校