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生物学研究会

部長 鳥居 隆史
部員数 4名(1年生2名、2年生2名、3年生0名)
活動日 毎週(水・木)曜日
活動場所 部室・マムシ谷・生物教室
昨年実績(継続中のものを含む) (1)日吉キャンパスに於ける土壌動物の採集と分類・同定(ダニ類を中心として)
画像:上端から2個目まで
マムシ谷をはじめ日吉キャンパス内の数か所で、土・落葉・枯草等を採取し、ツルグレン装置(注1)を用いてこれらから小動物を採集、80%エタノールで固定した。双眼実体顕微鏡(ビノキュラ)を用いて分類・同定を行い、種ごとに小標本ビンに保存した。2018年夏の段階で、種数が100超、個体数は数千に達するコレクションとなっている。
ほとんどが体長1mm以下の個体で、内訳は生物遺体を食べるダニ類が圧倒的に多く、次いでトビムシ類が多い。その他に捕食性のダニ類、クモ、アリ、キノコムシ、他の甲虫(成虫・幼虫)、ユスリカ・ガガンボ・ヒメイエバエ(共に幼虫)、アザミウマ、カメムシ、コムカデ、ヤスデ、ダンゴムシ、ワラジムシ、ミミズ、カタツムリ等々、多岐に渡る。
(注1):一般に土壌動物(ここでは落葉や枯草に生息するものも含む)は、乾燥・熱・光を嫌う。環境から採取してきた土などをザルに入れ上から電球で照らすと、土壌動物は下へ下へと逃げ網の目から落下するので、これを生け捕りまたは固定する。





(2)各種条件による植物の生育状況の相違の研究
農薬がもたらす植物の生育の差を大根を用いて調べた。また、そこの環境下での土壌生物の生態を調べた。
一方で、気象という不確定要素もあり、改善の余地も発見することができた。





(3)昆虫類、主に小甲虫類の実績
画像:上端から3番目
 蝮谷にてルッキング、ビーティング、BPTの三方法により小甲虫を中心に採集し、標本として記録した。蝮谷での採集結果は2018年9月末までで鞘翅目17科58種(未同定含む)、計91個体となり、確認したが採集していないものも相当数の種類があった。小甲虫は体長が3~15mmほどと小さい上種数が多く、また詳細な図鑑があまりないため現状では同定は中々に困難である。採集器具や標本作製道具は基本的に自前のものを使っているが、部としてもある程度所有しているためそれを借りて採集・記録することも十分に可能となっている。
 また、私的に行っている採集の分も合わせると2017年5月ごろからだけでおよそ700個体ほどを採集し、Excelを利用して採集日・場所・者を個体ごとに記録した。
 ルッキング(looking):見つけ採りとも呼び、自分の五感を頼りに歩きながら昆虫を探す。活動での主要な採集方法であり、昆虫採集の原点ともいえる方法である。
 ビーティング(beating):草や枝葉の下に網を差し入れ、上から棒などで叩きその振動に驚いて落下する昆虫を採集する。叩く植物の種類や状態、場所によって得られる昆虫は様々。
 BPT(Baited Pitfall Trap):落とし穴トラップ。地面に紙コップなどを埋め、中に餌を入れて放置することで地表徘徊性昆虫を採集する。オサムシ・ゴミムシが主な対象となるが、蝮谷に2018年度前期に仕掛けたものではゴミムシは少なかった。

採集結果

オサムシ科 計7種 11個体
アオオサムシ(9,V,2018)(31,V,2018)(14,VI,2018)
ゴミムシの一種a(Anisodactylus sp.) (10,V,2018)
ゴミムシの一種b(Anisodactylus sp.)(10,V,2018)
オオクロツヤヒラタゴミムシ(4,XI2017) (31,V,2018)
モリヒラタゴミムシの一種a(Colpodes sp.)(20,I,2018)
マルガタゴミムシの一種a(Amara sp.) (24,III,2018) (13,VI,2018)
キノコゴミムシの一種a(Coptodera sp.)(24,III,2018)

ゴミムシダマシ科 計8種 15個体
ユミアシゴミムシダマシ(13,VI,2018/2個体)
ニジゴミムシダマシの一種(Ceropria sp.)(13,III,2018)(30,V,2018)(13,VI,2018)
ミツノゴミムシダマシ(13,III,2018)
ゴミムシダマシの一種a(Luprops sp.)(10,V,2018/3個体)(13,IX,2018)
ゴミムシダマシの一種b(Uloma sp.)(30,V,2018/2個体)
キマワリ(30,V,2018)
キマワリの一種c(18,VII,2018)
ゴミムシダマシの一種d(Diaperis sp.)(18,VII,2018)

ハネカクシ科 計2種 4個体
ハネカクシの一種a(13,III,2018/3個体)
アカバハネカクシ6/13-4

シデムシ科 計1種 3個体
オオヒラタシデムシ(31,V,2018/3個体)

コガネムシ科 計5種 12個体
セマダラマグソコガネ(12,III,2018/4個体)(13,III,2018/2個体)
フトカドエンマコガネ(9,V,2018/2個体)
コブマルエンマコガネ(13,VI,2018/2個体)
センチコガネ(19,IX,2018)
コイチャコガネ(12,IX,2018)

コメツキムシ科 計6種 6個体
ヨツキボシコメツキ(30,V,2018)
コメツキムシの一種a(9,V,2018)
コメツキムシの一種b(10,V,2018)
コメツキムシの一種c(10,V,2018)
コメツキムシの一種d(13,VI,2018)

コメツキモドキ科 計1種 1個体
ケシコメツキモドキ(10,V,2018)

オオキノコムシ科 計1種 1個体
キノコムシの一種a(18,VII,2018)

ホタル科 計1種 2個体
ホタルの一種a(10,V,2018/2個体)

テントウムシ科 計3種 4個体
トホシテントウ(9,V,2018)
ムネアカオオクロテントウ(8,V,2018)
アカホシテントウ(20,VI,2018)(19,IX,2018)

クワガタムシ科 計1種 1個体
ノコギリクワガタ(12,III,2018)

カミキリムシ科 計8種 14個体
ヨツスジトラカミキリ(5,XII,2018)(20,XII,2018)
ビロウドカミキリの一種a(Acalolepta sp.)(13,VI,2018)(18,VI,2018)
ナガゴマフカミキリ(13,VI,2018)
ヒトオビアラゲカミキリ(10,V,2018)
キマダラミヤマカミキリ(14,VI,2018)
アトモンサビカミキリ (9,V,2018)(10,V,2018) (7,VI,2018/2個体)
ワモンサビカミキリ(14,VI,2018/2個体)
ヨツスジハナカミキリ(7,VI,2018)

オトシブミ科 計1種 1個体
ヒメクロオトシブミ(9,V,2018)

オサゾウムシ科 計2種 2個体
キクイサビゾウムシの一種(Dryophthorus sp.)(24,V,2018)
トホシオサゾウムシ(14,VI,2018)

ゾウムシ科 計4種 4個体
アナアキゾウムシの一種(Dyscerus sp.)(14,VI,2018)
エゴシギゾウムシ(13,VI,2018)
ゾウムシの一種a(10,V,2018)
ゾウムシの一種b(13,VI,2018)

ハムシ科 計1種 2個体
バラルリツツハムシ(10,V,2018/2個体)

タマムシ科 計6種 8個体
オオウグイスナガタマムシ(3,VI,2017)
クズノチビタマムシ(9,V,2018)
コウゾチビタマムシ(30,V,2018)
ダンダラチビタマムシ(10,V,2018)
サシゲチビタマムシ(24,III,2018/2個体)(12,III,2018)
チビタマムシの一種(Trachys sp.)(24,III,2018)

絵:ヒメクロオトシブミの揺籃(作:筆者)





(4)まむし谷散策による自然観察の実績
画像:下端及びその直上
主にまむし谷を散策し、植生による昆虫の分布を観察した。多くの場合生物の分布は広範囲でとらえるが、様々な自然環境が共存するまむし谷では生態系が凝縮され日当たり、植物の種類など全く異なる環境が日吉キャンパス内に存在しているためそれぞれの環境に適した生物の種類の違いが顕著に表れた。有名な昆虫ではクワガタムシ、オオスズメバチなど、目につきにくい昆虫では結婚飛行前のアリの巣、アブラムシに群がるアリなどが観察できた。一番の目的であった新女王アリの採集、飼育は今年はまむし谷では達成できなかったが、以前から飼育しているコロニーや休み中に旅行先などで採集した個体の情報を部員と共有することができた。また、活動中でなくても特徴的な生物を発見した場合や個人的な採集旅行、自宅での生き物の飼育についても他の部員と共有した。
昆虫の数が減る秋口には抽水植物に目をつけ、まむし谷でポリゴナムの仲間を採取し、育成を開始した。自宅の水草育成システムを完備(二酸化炭素の添加、専用の照明、アクアソイルを使用)した水深30㎝の水槽に植物の全てが水中となるように植えたところ、順調に成長し数日で水面から顔を出し、それから10日程で水面から20㎝以上に成長した。水中部分の茎の節からは根が大量に出てくることを観察した。これは毎日カリウム、窒素をはじめとする栄養素を添加していることや、魚の排泄物が原因と思われる。また、水上部分の頂点からはピンク色の花のつぼみが観察できた。これらの観察結果は平成30年9月30日現在のものであり観察は続いている。


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